あこがれの『おフランス』ざんす！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　美津乃あわ（元貴族）

舞台は古代エジプトから、フランスは花の都パリィ（巻舌）へと移った。
　あこがれの「おフランス」。外国で唯一「お」を付けて呼ばれる国「おフランス」！　幼少からの私の「おフランス」へのあこがれは、セーヌ川の流れのようにとどまることなくあふれ続けている。

　素敵だわ、おフランス。
　ボンジュール、マドレーヌ、シャンゼリーゼ。
　どうして単語の最後を伸ばしてしゃべるのフランス人？　フランス語は世界で一番美しい言語と言われ、日本で一番バカにされる外国語。口をとがらせてボソボソ話せば、ほら、あなたもフランス人。ドイツ語はさながら関西弁のよう。「そうデッセ、しゃべりッヒ」　ロシア語はきっと名古屋弁ね。「おみゃー海老ッチ、たわけたもんダノフ」　ならばフランス語は間違いなく東北弁よ。「おらあ畑で、マドモアゼルとモンペルノスはいてかふぇおれ飲むデヨフシュ（最後は鼻すすり）」　・・・ほらね。

　素敵だわ、おフランス。
　雷門より大きな凱旋門。通天閣より高いエッフェル塔。（チラシにもネタ提供）　ベルサイユ宮殿では今夜も貴婦人達がオスカルと一緒にすんげえおドレス着て舞踏会でくるくる踊り狂っているのね。
　素敵だわ、おフランス。
　ルーブル美術館には数多くの世界の逸品が納められているわ。きっとそのうち、私の四コママンガも世界の巨匠達の作品に囲まれるのよ。タイトルは「マリー・アントワネットの首飾りで縄跳び」。コボちゃんが、うっかりまちがえて首飾りで縄跳びをしているところにルイ１６世が現れてつい一緒に縄跳びをするの。オチはこうよ。

「国王さん�･　おはいんなさい�･」
「入るぞよ」
「と見せ掛けておいて、入れないもんね」
「そんなことしたら、断頭台の露と消えるぞよ」
「ギャフン」（そのまま処刑されるコボちゃん）
あまりのおもしろさに、 ルノワールやゴーギャンもまっつぁおよ。

　素敵だわ、おフランス。
　街並みには、常時「カレーマルシェ」のCMソングが流れているのね。そして女の子はみんな前輪のでっかい自転車にまたがり、前かごには長〜いフランスパンが入っているの。さらには、手に毛の長〜いでっかい犬（金髪サラサラで鼻長し）を連れてマロニエ並木をさっそうと通り抜けるのね。

　素敵だわ、おフランス。
　私のあこがれ「おフランス」。誰か私をおフランスに連れて行ってちょうだい。そしておしゃれなカフェで、モンペルノスはいてかふぇおれ飲むデヨフシュ（最後は鼻すすり）。　オルボワ？　メルシ。

門外不出実話●

　浅野彰一の『春休み　おフランス研究レポート』

　ボンジュ〜ル！　みんな元気か〜い！？　いよいよボクの最愛の作品「黒チュー」の再演だよ〜！　「人間は恋と革命のために生まれた」（太宰治『斜陽』より）
　ボクのだ〜い好きなだ〜い好きな言葉だ。イエイ！　太宰！　そんな超インテリのボクがフランスを愛するのは皆うなずけるだろう。ボクは愛するあまりショコラをいただきながらフランス革命を調べてみた。すると、ちょい〜っと気になることがある。それは、あまりに多く登場する妙ちきりんなお名前の数々だ。一体、彼らはどんな方々なのか？　

ミラボー【雄弁家で王室と金で取引していた豪傑政治家】　
いつも手を叩いて喜んでいる。「ミラボー！！」 苦しい？　

ド・リール【フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の作者とされている】
とんがっとんなぁ。グルグル回るんかなぁ、恐いなぁ。

バイイ＆バルバルー【テニスコートの誓いの議長。後のパリ市長＆物理学者】
うわっ、ドルゲみたく悪そうだ！　それにしてもテニスコートの誓いて・・・。「バルバルロロロー、貴様では俺のサーブを受ける事はできん。ふははは！」「おのれバイイ！　いつか必ず打ち返してみせる！　じゃあ、バイバイイ！」　苦しい？　どうだ？

ルー【「憲法よりもパンを」と叫んだ過激派の指導者】
濃そう。どっちかと言えば嫌いな芸風。最近、あまりみかけなくなった濃すぎる芸人やな。つぶやきシローとか、ミスター梅助とか、ばってん荒川とか。

シエイエス【革命を始まらせ終わらせた男】
チャゲあすだ。

ビシュグリュ【対外戦役に活躍した王党派の将軍】
もう無茶苦茶やなぁ。飛び散ってるぞ。こんな名前がありなら、「ブチュズロン」「バヒベキャ」とかありだろうな。あり？　ありあり！

ヴェルニョ【ジロンド派の雄弁な指導者の一人】
出てる・・・何か出てる！

　変にも程があるわ！　基本的にフランス人はおかしいもんな。フォアグラ食うし（肝硬変の肝臓だぞ、肝臓！）、ギロチン考え出すし（ポンポンポンポン首とるな！）、ジダンは禿げてるし（頭いてえよお）。まぁ、仕方ないか・・・。だが！　これ程のバックボ〜ンがあれば、ボクはまるで芳醇な宝石のような輝きをしたぶどう酒になるに違いない。いや、そんな演技をするに違いない。
　さあっ！　まもなく幕が開く。失明する程のまばゆい光を浴びて、窒息寸前の感動の舞台にボクは立つ！　だからみんな！　ファンレターちょうだい〜！！！！！
　（これこそが重要。重要だね。重要、重要）　

門外不出実話●

フリフリヒラヒラ　山口夏希（衣装）
　
　次の公演は美しいフランスが舞台！　あの『黒いチューリップ』に決まりました。(拍手)

　ドレス好きの私（と言うよりドレバカ・ドレ狂・ドレフェチ・・・普通 は好きだからって意味なく作ったりしません）　実はバイトでもドレスに囲まれている程、趣味は過剰装飾。夢、城住み。好きな芸能人、美輪明宏。そんな私にとってヨーロッパ貴族社会＆フランス革命とはクラクラ来る様な舞台設定。なんてミラクル。当然衣装も前回よりパワーアップすべくレースもフリルも予算の限りにこれでもか！　の大盤振る舞いで行きたいと思います。ん〜、夢は広がるねぇ・・・。それにしても二人のビッグショウでの千昌夫と八代亜紀の組み合わせはいただけないねぇ。

　まず、女優さん方をおフランスに染めるべく、あの好き放題に濃いキャラに負けんようなフリフリドレスを！　美津乃さんを巨大花・女王ラフレシア状態に。女優さんは美しい地肌に直接フリルを縫い付けて人間イソギンチャク貴婦人にしてさしあげましょう。ウキウキ・・・、し、しかしあの、白タイツからすね毛が透ける奴ら、つまり男優どもはどうすれば。

　おフランスと黒すね毛、それはまるで水と油。月とスッポン。栃東と千代大海。取りあえず剃れよ、男ども。これで問題解決。・・・って、そうじゃなくて、すね毛以上に濃いキャラが問題なんだってば。地獄の使者や、暑苦しい眼力の人や、白い仙人、武家の若様みたいな人達（全て私の主観）が、果 たしておフランスに染まるのか？　浅野さんは・・・羽飾りとか殺陣に揺れるフリルとか、おおっ、結構合うんでは！？

　そして須美さん、袴姿はまるで若様の日本人顔をゴルゴ１３ばりのクドイ系メイクに。さらに首周りにレースを三重にあしらいまして、クドさで何とかしてみましょう。でもあとの二人が大問題なのです。

　盛井さんは近頃さらに仙人化が進み、時々空中に水墨画の背景を背負っておられます。昨日から仙術を使い、天界へと散歩に行かれました。何とか金銀の虚飾にまみれた衣装で、俗世間の記憶を呼び起こしたいと思います。探しています、帰ってきて下さい。

　そして、そして、えん魔さんの地獄産のオーラは衣装に白レースを施したくらいで消えるものではありません。内側に十字架でも縫い付けとこうかな。やはり神の力を使ったら相当苦しむかな？　でももう正攻法じゃムリみたいなので仕方ないですね。太陽の下に出たら身体が溶けるって言ってたしなぁ。これで効いたら、弱みも発覚で私的には一石二鳥。

　ええ、とにかく、ほんと次の公演が楽しみですね。尻切れ御免！

門外不出実話●