■STORY


エデン=最後の楽園と呼ばれる国。

やがてそこに破壊の鉄槌が舞い降りる。



エデンに住むシレウス。
彼は翼のある飛翔族の中に生まれた唯一の片羽の異形。
それゆえに空を飛べず、仲間に馬鹿にされている。

シレウスには一人だけ友人テリクスがいた。
テリクスは王族だったが、
彼だけが飛翔族でありながらシレウスを馬鹿にしなかった。

飛翔族は空を飛び、高い木々の上に咲く崇高な花を食べて生きている。
大空で暮らす彼らには天敵もいない。
自分たち以外の知的生命はいないと思っていた。
遥か眼下に見える地上はただの荒野であり。
生命がいたとしても下等な蛮族として冷徹に考えていた。

シレウスは飛べないので歩いて暮らしていた。
崇高な高嶺の花を食べることができないので地面に咲く枯花を食べている。
シレウスはある日、地上まで歩いてみた。
そこはエデンで考えられているような荒れ野ではく、
生命に満ちあふれ、美しい自然が広がっていた。
そこでシレウスは地に生きるロロフスに出会う。
彼には翼がなく狩りや収穫をして暮らしていると言う。
シレウスは生まれて初めての世界に興味を持つ。

ロロフスと仲良くなったシレウスは
飛翔族の目を盗みつつ空と地を頻繁に行き交った。
多くの友達ができた。
彼らは空を飛べず、愚鈍で奇妙、
粗野な者もいたが、誰もシレウスを馬鹿にしなかった。

世界は空だけでなく、
地にも、また広大な海にも、あらゆるものが生きている事を知る。

「世界は美しい。永遠にこの時が過ぎればいい」

しかし、世界の破滅がやって来ようとしていた。

世界には低く不気味な長笛の音が鳴り響き、
天候は激変し、食べるものは減っていった。
あらゆる生命が生き長らえる場所が減ってゆく。
生きる者達は我先に安全な場所を求め、争うようになる。
そして、空地海を問わず、大きな争いが広がってゆく。

やがて「絶対的な破壊」が遥か上空から舞い降りてくる。
多くの友、仲間、敵、すべてが倒れて行く。

「僕はなぜ片翼として生まれたんだ・・・?」

シレウスは最後の選択を迫られる。
それはいつか新しい世界への扉を開く鍵となる。


「半翼の子 止まるな 汝は美しい」