TREASURE OF FANTOMA” EVENING SPECIAL EDITION / 2001年6・7月 第15号 

SFラブロマンス 
〜キャメロンがやらぬなら私がやる!〜
                              
美津乃あわ
 
 次はどうやらSFのようだ。
 女の私が考え得るSFのイメージはこう。時代が過去未来メチャクチャ。ギクシャクしたメカが出てきて、チュルチュルした異星人が走り回ったり、ポチッと押したらビュッと延びる剣でガキガキやったり、やたらでかい銃でビームがピロ〜。で、生身の人間である主人公がえらい目にあう・・・とかなのだが、皆はどうだろうか? 多分、この要素で大抵のSFって出来てる。スターウォーズがこれなのね。さすがはSFの王道。(スター誕生は横道)

 ・・・で? ストーリーはどう? そこに愛はあるの?
 私は今、死ぬほど恋愛モノがしたい。しかも愛される役がいい。理由は分かっている。
 なぜなら、私はいつも相手役に大量の愛情を注いでばかりで愛される事があまりない。最近でも、悟空やリパー、アリババにドク・ホリデー、カジモド、一郎太、etc、どれも愛されラブ野郎ばかり。いろんな種類の愛情を大量 にタレ流している。(エイリアンのよだれのごとく)

 ちなみにこれにはちょいとしたジンクスがあって、私に愛情を注がれた役の俳優は必ずと言っていい程その公演で人気が上がる。 なにしろ猿ですら私に愛されたおかげで天竺で無事昇天した程。猿の惑星がこれなのね。さすがはSFの王道。(猿の軍団は横道)

 たまには一方的に愛され、なでられ、登場人物全員が私にベタポレ(『ボレ』ではなく『ポレ』なのが泣きポイント)。 超モテモテヒーローを演りたい。(ヒロインじゃない所が泣きポイント)。

 そこで、私は毎日のように、ファントマ脚本担当者のE君に「恋愛SFを書け」と命令しているが、「なんだそりゃ?」という風。なんなら、私が考えてあげましょう!

 ★私の構想による/『例えばエイリアン5』
 ヒロイン/リプリー(美津乃あわ)が、あろう事か宿敵であるはずのエイリアンの一匹(田村正和)に猛烈な恋心を抱いてしまう。古畑張りの数々の難解ミステリー事件とウィットに富む会話。複雑な心境のリプリーはとうとうエイリアンに自分の思いを告白する。ところが、リプリーはラブ・エイリアンがどれだったか見失ってしまう。「皆同じ顔だわ!」 どれを見ても同じに見えるエイリアン達。気が動転したリプリーはうっかり最愛のエイリアンを特殊装甲車でプチッと踏みつぶしてしまう。「ごめんね。うっかり。」 そして最後にマザーエイリアン(美輪明宏/当然、黒エイリアン)との一騎討ちが始まろうとしていた・・・。 ああ、なんて悲恋のスペースホラーラブロマンス!! って、これじゃダメだ! 私が愛されまくるエイリアンでなきゃ! シギャーッッッ!!(口からもう一個口が出てきて唇を噛む)ッ!

 ★私の構想による/『例えばターミネーター3』
 シュワちゃん型ターミネーターとサラ・コナーの仲が恋愛関係に発展してもつまんない。なら一ひねり加えよう。サラを助けるために、T-1000型と大バトルを繰り広げるシュワちゃん型ターミネーター。そんな中でハッと気づくシュワちゃん型。T-1000型に向けた敵意は、実は愛だったのだ! 小学校の頃、好きな女の子のスカートをめくったりするのと同じ心境。自分の本心に気づいたシュワちゃん型は苦しい愛を貫き、T-1000型の手を取り「心中」の道へと進む。そして二人は仲良く溶鉱炉の中へ身を沈めてゆくのであった・・・。あぁ、なんてサイバー心中物語!! 特殊合金とスパーク火花散るラブロマンス。素晴らしすぎる。

 
 どう? 今回はこれで決まりね。今まで無かったのが不思議なくらいね。
 客減るか?




制作観劇日記● こんにちは! 最近はみだしっぱなしの制作です! さてさて今回はファントマ観劇レポートをお伝えします。 題して『演ずるよりも見るがやすし』!



惑星からの物体/俺       
                  
浅野彰一

 恐縮です。惑星からやって来たスーパースター浅野彰一です。あだ名は流れ星の彰一。もとい、今では地球という枠を飛び出し、まさしく宇宙の星となった超生命体スペース・スター浅野彰一です。恐縮です。今回は、そんな『俺』のちょっとしたストレスの話を。

 「今回の舞台、○○さんがかっこよかったわ・」

 毎公演後、必ず聞く言葉。身内から聞くことが多いせいか、どう言う訳か大抵その「○○さん」は俺ではありません。

「俺は?」「あぁ、あんたもよかったよ。」
 
 同情はよしてくれ。その目が「よかった」とは言ってないぞ。

「E魔さん、ファンの方から差し入れです。これはM乃さんです。これF田さん。」
 毎公演終了直後、よくある光景。(あの・・・俺のは?)

「あぁ、お花が届いてます、浅野彰一君へって。お母様からで〜す・」

 『君』はよしてくれ『君』は。おふくろぉ! ・・・アンケートでもそうだ。

「M乃さん綺麗! M井さんギャグ最高! O村さん顔だけ格好いい!」

 俺だけ抜くのはよしてくれ。お前らに何かしたか? え? 俺のストレスは今にもビッグバンしそうなんだ。もしかして、俺にはファンなんていないのか? 俺は相当イケてないのか? どうなんだ? 俺は惑星のスターなのに。惑星の惑は魅惑の惑なのにも関わらずだ。
「役者にはモノをあげたくなる人と、そうでない人がいるのよ。あなたは後者なのね。心配ないわ。」
 看板女優M乃嬢はこう言った。・・・ウソだ! 腹の中では舌を出して笑ってるんだろ!? (この人気無し、ギャーッハッハッハッハ!) ・・・ってな。クッ、悔しぃッ! 誰か何かくれー! なんて浅ましい俺! だから浅野彰一! 

 もう俺は決めた。もし次の公演で何も貰えなかったら、俺は地球を去る。みんなの見てる前で頭が首からゴロンと落ちて、そこから足を生やして地面 をテケテケ走り去ってやる。・・・そんな俺は惑星からの物体。だから誰か何か物体をちょーだい。
(テケテケ走り去る)




制作観劇日記● ファントマ『三蔵』/実は私、稽古を絶対見ませんでした。お客さんとして純粋に観劇するためです。はたして感想は・・・めーちゃくちゃ楽しい! それに感動! なんて美津乃さんかっこいいの! もうだめぇ! その日の夜、絶賛メール攻撃を美津乃さんにしたら嫌がらせと思われました。やっぱり無記名送信じゃダメだな。




スタッフ密告バトル

チクリスタッフ その1  山口夏希

 初めまして。 ファントマ衣装担当の山口と申します。
まだまだ新参者の私ですが、恐れながら私達衣装スタッフに最も挑戦的な体格をした座
長の事を軽〜くチクッてみたいと思います。よく聞きなさい、座長!

@ 前々回公演「666」の時は、今よりひと回り小さかった。
 (私の記憶では、せいぜい上島竜兵を縦にのばした位。今じゃ橋本並)

A「三蔵」ツアー移動中、高速インターにとまる度に何か食べてた。
 (各インターの名物ガイドブック人間。特にソフトクリームは完全制覇)

B 稽古場で寝転んで食事する。さらに劇団員のホカ弁を横取りする。
 (特に盛井さんは相当悲愴感があり、非人道的なのでやめて下さい)

 そんな事をしてきたせいで、1月の東京初日にフィットしていた八戒の衣装が、4月の高知の時に入らなくなるのは当然です。しかも開き直って「わははは。じゃ、カツオを食い納めてからダイエットだ」なんて・・・まったく衣装泣かせ。

 まあ、こんなのはまだまだかわいいモノでございますわ。ファントマ内衝撃の裏話はまだまだ盛り沢山なのです。知りたい? でも教えてあげない。・・・って言うか、あまり言うとチラシから私の名前が消えかねませんから。

チクリスタッフ その2  イカワ(仮名)

 はじめまして。今回、何の前触れもなく〆切りの直前に原稿を書けと言われ、すでに泣きが入っている小道具スタッフのイカワ(仮名)と申します。
 お題はスタッフによる密告話。自分の失敗は数々あれど、万一それをバラしてクビにでもなった日にゃ目も当てられません。ですが、勇気を出してチクリます。

 とある、小道具作業の日。稽古場。(天神橋6丁目付近)
「おはようございます! 今日は何やるんですか?」
「これ。」(小道具チーフの盛井さん/無愛想)
「これって? どうやるんですか?」
「適当」
「え? 適当って・・・」

 そのまましばらく会話無し。

「イカワ(仮名)。何かおもしろい話ないのか?」
「え? そんなんありませんよ」
「なんだ・・・おもんないヤツ」
「そう言う盛井さんはどうなんですか?」
「ない」

 再び会話もなく作業は黙々と続く。このやりとりを連日くり返す小道具チーム。
 ふと横を見れば衣装チームが和気あいあいと作業をしている。(なんて楽しそうなの! 私もあっちに入りたい!!) 何度そう思った事か・・・。
 とんでもない話をもう一つ。ツアーからの帰り、午前5時早朝のインター。車中で一睡もできず朦朧とする私に、なんと盛井さんはモノマネ勝負を命令。私に大和田獏のモノマネをさせた。そして冷静に「全然似てないな」とポツリと言い放った盛井さん。いつか誰かに刺されますよ?






制作観劇日記● 芝居屋裏道ストア『結婚式』/えん魔先生が美女達に囲まれ、奪い合われ、大変な事になっていた・ あんなに肌のツヤもよく、凶悪メイクがのりにノッている穏やかなえん魔先生を初めてみました。やっぱり美女パワーはすごいです。我がファントマにもあれだけの美女がいたら・・・。チッ。美女がなんぼのもんじゃい。




制作からの手紙
 
「帰ってしまったアナタへ」    森 成代

 初めまして。制作スタッフの森と申します。いつも受付に立ち、皆様を暖かく、時に冷たく、時に生温くお迎えしています。おかげ様で、2001年のオープニングアクトを勤めた『三蔵』は東京・大阪・高知とも入場制限する程の大入り満員となりました。心からお礼を申し上げます。
 なのに、なのに…。せっかく会場に足を運んで頂いたにも関わらず、東京・大阪で延べ100人近いお客様に入場を諦めて頂く事になってしまいました。ファントマ史上最高の名作、浅野彰一の遺作となった『三蔵』。(あくまで劇中設定としての願望。祈り。そして静寂。)『三蔵』を見ることなく帰らされたアナタ。劇場への階段を上がることすら許されなかったアナタ。ただの雪まみれになってしまったアナタ。本当に申し訳ございませんでした。きっと怒り爆裂の事でしょう。
 まさか、これで「二度と来るか!」なんて思ってませんか? 違う・・・そりゃぁ間違いってもんです! 私達はゾロゾロと帰って行くアナタ達の背中を見てどれほど涙を流したことか。御希望の方にはもれなく『お詫び公演VTR』を発送致しました。
「あと2人、いや1人でも入れないかしら?」「お願い、帰らないで! 嗚呼!」
 私達受付スタッフはそんな葛藤に苦しみ喘ぐ日々。(涙)
 とは言いつつも、実はほんの少しだけ口元は笑ってました。だって、こんな嬉しい悲鳴をあげられる日がやってくるなんて…。あんまり嬉しい悲鳴だもんで、「アンギャガドゥーン!」と受付全員でアカペラ絶叫した程。「今日は30人も帰しちまったよ。ごめんね。ウケケッ。そしてファントマがチケット入手困難な人気劇団だと言う噂を流して頂戴」等とほくそえんでおりました。許して下さい。

 こうなれば、ひとり残らず入れる広い劇場へ! しかし、大きな劇場で公演をするためには、動員数をまだまだ伸ばさねばなりません。お願いです。『エンジェルダスト』は最低3回見なさい。そんなアナタが私はどっちかと言うと大好きです。どっちかと言うと。





制作観劇日記● Camp.06『CURE』/浅野さんが出演していました。見どころは何と言ってもあられもないあの姿。素敵でしたよ、パラパラを踊る浅野さん。まるで訳わかってないオ●ム信者の勧誘ダンスみたいでした。



ある作家の野望バラード
    SONG BY 伊藤えん魔
     
(冒険ノンフィクション作家)

 俺には以前から温めてきた緻密なプロジェクトがあった。それは、「ハードボイルドお色気化計画=コードネーム01691717(オイロケイーナイーナ)」。俺の構想はイスラエルの暗殺エージェント達からそう呼ばれていた。   

 俺と恋人のゴールディーは日本を脱出し、コペンハーゲンに潜伏していた。いくら鼻のきく劇団工作員でも、今すぐこの場所を見つける事はできないはずだ。俺達はオープンテラスでこの街特有のアクの強い紅茶を飲む。ここでは砂糖の変わりにジャムで甘味をつけるのが決まりだ。ゴールディーはこのテイストが気に入ったらしく、ここ数日というものあらゆる種類の瓶詰めジャムを試している。つい俺もつられてしまう程。試しに昨日、瓶詰めウニを紅茶に入れてみた。断言する。
「ウニは紅茶に入れるな」

「あの計画、実行するつもりなのね」
「君には何でもバレてしまうな」
「物真似でもう一度言って・・・」
「君には何〜でもバレてしまうねぇ!」
(坂東英二)


「あなたはハードボイルドを愛したはずよ。それがどうして?」
「潮時さ。もう格好つける歳でもねぇしな」
「あなた、変わったわ」
「・・・変身。トゥッ」
「お願い、それ以上変わらないで」

 俺が永年相棒としてきた信条を捨てる理由は一つ。俺のガキの頃からの夢を叶えたいだけだった。本物のお色気をいつか作品にする。そして、俺はその現場に立ち会う。ただ、それだけだ。
 ガキの頃。何より好きなテレビ番組があった。それはアニメの「ディック・トレイシー」でも「グリーンホーネット」でもない。それは「夏だ! 芸能人水泳大会」だった。あの若い芸能人達が他愛のない体力を競いあう出しもの中で、唯一他愛なくはない事があった。

 あの番組には永遠の謎がある。誰もが知っている顔ぶれの中で、なぜか「誰だ? お前?」といった見知らぬ 女が必ず数人紛れこんでいた。別に美くも醜くもない普通の女。ところが、奴らは騎馬戦となるとその存在を強烈にアピールした。そう、例の「ポロリあり」だ。そもそも、あんな密着度の頼りない水着を着て騎馬戦に参加する方がどうかしてる。案の定、彼女達は正統派アイドル(こちらは完全防備のワンピース着用/山口百恵・岩崎広美等)が一曲歌う間に数回、水着をプールに落とす。そして、勝敗に関係なくカメラは半裸シーンを撮り続けたのだった。
 
「あれがやりたいんだ」
「どうしても?」
「死んでもな」
「わかったわ・・・あなたの好きにするといい」

 これで決まりだ。あとは日本にもう一度生還し、いかに劇団員達をネジ伏せるかである。俺は乾いた喉を潤そうと一口紅茶をふくむ。と、その時だった。突然の目眩が俺の平行感覚を奪った。(しまった・・・罠だ!) 気づいた時には、もう遅かった。店員と客に変装していた数人の男が俺達を取り囲む。微かに聞こえるゴールディーの悲鳴。見あげると、そこにはあの冷血看板女優Mが俺を見下ろし、あざ笑っていた。

(続けられればつづく)





制作観劇日記● HORRORYTHM#12/これも浅野さんがゲスト出演していたロックバンドと演劇の核融合ステージ。老人の扮装でヤングマンを熱唱する浅野さん。大受けでしたがあの路線ではまたファン激減ですね・(ちなみに美津乃さんが飛び入り登場。お客さんはもう大喜びでした。さすが美津乃さん。浅野さんとは違いますね)